ターミナルケアとグリーフケアは、患者やその家族の心理的、感情的なケアを行う点で密接に関連しています。ただし、それぞれの焦点や目的は異なり、役割が連続していることが特徴です。

ターミナルケアとは?

•ターミナルケアは、患者が生命の最終段階にあるときに提供される医療や心理的支援を指します。
•主に、患者が苦痛を最小限に抑えながら穏やかに人生の終わりを迎えることを支援します。
•患者だけでなく、家族にも心理的サポートを提供します。家族が死別に向き合う準備を整えることがターミナルケアの重要な役割です。

グリーフケアとは?

•グリーフケア(Grief Care)は、家族や親しい人が患者の死後に受ける心理的、感情的、社会的支援を指します。
•死別によって生じる喪失感(グリーフ)に寄り添い、その感情を適切に処理し、生活を再構築できるようサポートします。
•喪失のプロセスは個人差が大きく、長期的なサポートが必要となる場合もあります。

関係性

ターミナルケアとグリーフケアは、患者の死を中心としたケアの連続体として理解することができます。
(1)役割のつながり
•ターミナルケアがグリーフケアの準備をする
 ターミナルケアでは、患者だけでなく家族が死別に向き合う準備をサポートします。これにより、家族が喪失を受け入れる土台を整える役割を果たします。具体例:家族への心理的支援、患者との対話の促進、最後の時間を有意義に過ごすための環境作り。
•グリーフケアがターミナルケアを引き継ぐ
ターミナルケア後に、家族の悲しみのプロセスを支援するのがグリーフケアです。死後に始まるケアとして、ターミナルケアと切れ目なくつながります。具体例:死後の家族面談、葬儀後のフォローアップ、必要に応じた専門家への紹介。
(2)心理的ケアの一貫性
•家族は、ターミナルケアの段階から喪失を予期しており、この「予期的悲嘆(Anticipatory Grief)」がグリーフケアの対象となることもあります。
•ターミナルケアで良好な家族支援が行われると、グリーフケアがスムーズに進み、家族の心の負担が軽減されやすくなります。
(3)多職種チームの連携
•ターミナルケアとグリーフケアでは、医師、看護師、ソーシャルワーカー、心理士、宗教者(チャプレン)などの多職種チームが協力して支援を提供します。
•ターミナルケアで家族の心理的状況を深く理解することで、グリーフケアの計画が立てやすくなります。

グリーフケアが特に重要となる理由

1.家族の精神的健康
家族は患者の死後に大きな喪失感を抱えます。適切な支援がないと、抑うつや不安症状が深刻化するリスクがあります。
2.死別のプロセスの正常化
グリーフケアは、死別がもたらす感情の揺れを「正常なプロセス」として受け入れられるよう手助けします。
3.次のステップへの支援
喪失後に生活を再建し、前向きに進む力を取り戻すための支援が、家族にとって重要です。

ターミナルケアとグリーフケアの役割の相補性

•ターミナルケアは患者と家族が「人生の終末」を穏やかに迎えるための支援。
•グリーフケアは患者の死後、家族が「喪失感を乗り越え、新たな生活を築く」ための支援。
これらは時間的にも心理的にも連続性を持つケアとして設計され、患者と家族の心の健康を守る上で重要な役割を果たします。ターミナルケアの質が高いほど、グリーフケアが効果的に機能する可能性が高まる点も注目すべきです。